「このままでは入れる高校がありません」
この言葉をKさんが聞いたのは、中学1年生の2学期、三者面談の席でのことでした。
この言い方はやや大げさというか、おそらく担任の先生としても「発破をかける」というような気持ちがあったのではないかと思います。ただ、とてもショックな言葉に意気消沈してしまったKさんとお母さんは、一つの決断をします。長く通ったチェーン店の塾を辞めて、別の塾を探そうという決断です。手始めに、少し前にできた近所の小さな塾に連絡することにしました。
塾には通っているのに成績が上がらず、全ての教科で平均点も取れなくて、きっとツラかったと思います。ここで諦めずに自分を変えようと思ったことこそが、Kさんの分岐点でした。
やや人見知りなのか、最初のうちは最低限の返事ぐらいしか返ってこない、とても物静かな子でした。ですが、一度やると決めたら必死に頑張る子だったのでしょう。週2回の通塾時間を目一杯活用して、苦手を次から次へと克服していきました。
通い始めた直後の1年2学期期末テストで、まずは英語が平均点を超えました。
次の学年末テストでは、国語と数学と社会も平均点を超え、中学校入学以来初めて、5教科平均点を上回ることができました。
お母さんから「びっくりしています。まだ塾を変えてから半年もたっていないのに、こんなに成果が出るなんて」というメールをいただいたこと、今でもおぼえています。
ここで止まらなかったのがKさんのすごいところです。
2年生の1学期の中間テストでは、苦手だった理科も平均を超えました。
これによって、ついに5教科すべてで平均点を超え、文句なしの逆転劇を起こしたのです。
3年生になってもしっかりと通塾し続け、6月の北辰テストでは大宮光陵高校(偏差値58)を合格圏に、大宮南高校(偏差値53)を安全圏に捕らえました。
「入れる高校がない」と言われたKさんの姿は、もうどこにもありません。
「南高ですか?あそこはレベルが高いから無理だねーなんてうちの子と話してました」とお母さんに言われたのも、もはや遠い昔のことのようです。
最終的には上記の2校ではなく、真剣に検討した中で自分がいちばん行きたいと思った学校に進学していきました。
Kさんとの経験から得られた信念が、今でもこの塾の指導の根幹にあります。
本人が頑張ることこそがたった一つの道で、我々にできることはそのサポートぐらいです。
今後もKさんのような生徒をたくさん育てていければと思っています。