入試も終わり、今年も無事に全員第一志望合格で幕を閉じることができました。
昨年度の倍率で6倍以上の自衛隊高等工科学校、女子は倍率5倍と人気の大宮国際中など、大変な受験を子どもたちが切り抜ける姿を近くで見ることができて、私もとても勉強になりました。
2021年度は、今まで以上に「目先の点数より本当の理解」ということを意識したカリキュラムに変更し、3月に卒業した中学生と在籍している中学生は全員成績を上げること(最初から上位の生徒はそれをキープ)に成功するなど、大きな手応えを感じることができた一年でした。
一方で、そういった指導ではすぐに結果が出ないためか、成績の良くない層の生徒が何人か退塾してしまうということもありました。今まで努力してこなかった人に限って結果をすぐに求める傾向が強いというのが、偽らざる実感です。
小学校の算数でつまずきやすい速度や割合なども、その場しのぎでできるようにするのは実はそれほど難しいことではありません。
あるチェーン塾などでは公式を叩き込んで計算の訓練をさせることで、とりあえず問題を解くという点ではとても成果が出ているように見えます。
問題はその後です。
本質をまるで理解しないまま問題を解き、解けてしまうがために自分が理解できていないことにも気づかない。下手をすれば、それで算数が得意だと思い込んで余計なプライドを持ってしまい、本当に必要な支援を受ける段階になってそれを拒否するようなことが起きてしまうかもしれません。
算数はできるかもしれませんが、あくまで算数止まりという感じで、数学への理解がまったくない状態になります。
小学校の算数や中学校の数学で習うのは、数字の世界についての理解ができていれば、絶対にできるはずのことばかりです。公式をおぼえた程度の薄っぺらな知識ではなく、公式を自ら導き出せるレベルでの理解こそが、本当は必要なんです。
「公式に数字を当てはめて正解したからOK」などという、出口から入るような本末転倒な指導は、基本的には避けなくてはいけません。
ごく一部、上位5%以内に確実に入れるような生徒であれば、出口から入ったとしても全容を把握することができると思います。そうでないのならば、最初のところからちゃんと始めて、順番に進んで最後のところまで到達するべきでしょう。
言われるがままに数字を当てはめるだけの作業に没頭した結果、多くの子どもたちが「頭を使う」という当たり前のことを放棄しています。
「56グラムの食塩を使って濃度16%の食塩水を作りました。食塩水の質量は何グラムでしょう」という問題で3.5グラムと答えるようなことは、頭を使っていれば絶対に起こりません。全体のほうが一部よりも軽いなどということはあり得ないからです。理解せずに暗記だけした結果、このようなことが頻発してしまいます。
楽をすればするほど負債が膨らみ続けて、あとで本当に大変なことになります。
まずは保護者の方が変わったほうがいいケースも少なくありません。
辞めていった生徒の保護者さんから、「コツのようなものを教えてやってほしい」と言われたことがあります。「楽をして結果を出すという意味でしたら、当教室の中にはその答えはありません」とお答えしました。
ほかにも英単語の暗記方法などを聞かれた際にも「おぼえるまで続ければおぼえます」と答えました。
暗記なんて誰だって苦手に決まってるじゃないですか。うちの子はコツを知らないからできないのね…なんて思っていることこそが、お子さんを低い位置に縛り付ける鎖になっていることに早く気付くべきです。足りないのは努力だけです。
勉強が得意な子はコツを知ってるから楽にできてる。だから自分も楽して当然。
そんな風に考えていたら、絶対に何も身につきません。
間違えるのが嫌だから勉強しない、と思っているのだとしたら、まずはその考えを矯正します。
誰かが壊したものを再建するのも、塾の大事な仕事なのかもしれません。
できれば壊す前に来ていただきたかったと思ってしまうことも多いですが、本気で戦うのならいくらでも力を貸しましょう。
完璧じゃないことを恐れている暇はありませんし、そもそもそのような立場でもありません。プライドを捨てて、たくさんの問題を間違えて、そこから何か学ぶことが重要なんです。
一度しかない人生です。
もう一度、頭を使うことに挑戦してみませんか?自分自身を組み立て直しましょう。
上手くいく保証などありませんが、そんなものは最初からどこにもありません。
あきらめる前に、できることがまだあるはずです。
おかげさまで開業から6周年を迎えることができました。
新カリキュラムを導入した中1と中2は半数以上の生徒が学年上位20%以内に入る好成績を収め、唯一の中学受験生は5倍(女子)の倍率をはねのけてみごと大宮国際中に合格するなど、今までになく順調な一年だったと言えます。
新学年へ向けてのお問合せも少しずついただき始めて、7年目も好調なスタートが切れそうです。
ここまでの結果が出たのは、当然ながら生徒の頑張りのおかげです。
こんなに厳しい塾なのに、みんな嫌な顔一つせず(嘘)本当によくやっているなと、他人事のように関心してしまいます。
この一年は、生徒たちの驚くべき成長を何度も見せつけられることの連続でしたが、そんな中で見えてきたことがあります。
成績を上げるためには、まずは勉強というものを自分のこととして考え、自分の責任で頑張ることが絶対に欠かせないということ。
そして、それができるかできないかを分けるのは、性格というか根性というか、そういった精神的な部分なのではないかということです。
性格が行動に出て、行動が習慣になり、習慣が結果を生むと考えれば、当然なのかもしれません。
性格が成績に関係あるというと、「人間性に問題があると成長が見込めない」と言っているように思われるかもしれませんが、そうではありません。そこに問題があると分かったのなら性格の面から正していけばいいだけ、ということです。
「決意」というのは、そういうことをすることだと思っています。
具体的に問題になるのは、自分の弱さを認められない性格や、何でも他人のせいにする性格、我慢ができない性格です。
できないということを認めること、その原因が自分にあると認めること、そしてそのことを克服するつらさに耐えること。
それらができなければ成長はできません。
ほかの人にできることができなくてつらくても、「一般人とは違うからそんなこと目標にしてない」などと言って自分をごまかしてしまうのは良くありません。
できるけどやらないんじゃなくて、できないんです。情けないかもしれません。恥ずかしいかもしれません。でも、そこから目を逸らし続ける限り、成長はできません。
そんなときこそ、自分自身を見つめて戦うべきです。弱さを認めることこそが、強い自分への第一歩ですよ。
保護者の方の中にも、残念ながら我慢のできない方が存在します。
13年も14年も何の努力もしなかったのなら、その問題を解決するのには時間がかかります。ところが、子どもの能力を下げることには10年以上も耐えてきたのに、それを改善するのには半年も耐えられないという方が、本当に存在しています。
下げるのは楽でも上げるのは大変ですからね。
大変なことから大人が逃げれば 子どもは真似します。
子どもは天才とかいうような、くだらない甘言に踊らされてる暇はありません。
みんな天才だったら誰も苦労しませんよ。みんな天才じゃないから努力してるんです。そのぐらいのこと、言われなくても気づくべきです。
現実に立ち向かえないとき、人は現実以外に目を向けることになりますが、できない人間が語る夢や理想ほど虚しいものはありません。
夢とか理想とか、そういう言葉は現実から逃げるために語るものではありません。戦えない自分を、フワッとした耳触りのいい言葉でごまかすのは、支払うあてのない空手形を切り続けるようなものです。
どこかに暖かくて柔らかくて優しい世界があると夢想して、通過儀礼を避けたまま永遠の幼年期をすごすような生き方は終わりにしましょう。
自分と真剣に向き合うのは大変なことです。みんなにできることが自分だけできなくて、格好悪くても、恥ずかしくても、みっともなくても耐えてください。そう感じたときこそが成長のチャンスです。
つらいときこそ、自分を信じるべきです。
耐えるべきときに逃げてはいけません。
できないことから目を逸らしてはいけません。
自分に嘘をついてはいけません。
一人では無理だとしても、一人じゃなければ大丈夫なはずです。
そんなときは私が必ず力になります。
私と一緒に、耐えてください。
(追記:書いている途中から気づいていたのですが、この文章、ほとんど自分に向けて書いています。ボツにしようか迷いましたが、私と同じように弱い誰かの役に立つかもしれませんので残しておきます。)